その「冷え」大...
寒さがやわらぎ、ぽかぽか陽気で過ごしやすくなったこの時期ですが、季節の変わり目は気温差などにより、自律神経が崩れやすくなる時期でもあります。快適にシーズンを過ごすために、油断せず健康に気を付けましょう!今回は、意外と春にも多い心臓の病気についてお話ししたいと思います。
済生会泉尾病院 心臓血管外科 部長 宮下 直也
春に多く見られる心臓系の病気としては、以下のようなものがあります。
心臓の筋肉(心筋)に酸素や栄養を供給する冠動脈が詰まり、血流が途絶えることで心筋の一部が壊死してしまう病気です。これは急性冠症状群の一種で、放置すると命に関わる危険な状態となります。
冬場に多いとされている心筋梗塞ですが、気温の高まる春や夏にも多くの方が発症しています。春になると気温差や季節の変わり目が影響して、自律神経のバランスが崩れやすくなります。この時期に血管が収縮することで血栓ができやすく、心筋梗塞が起こるリスクが高くなるとされています。
●原因
主な原因は動脈硬化による冠動脈の狭窄や閉塞です。特に、動脈硬化が進行して血管の内側にできたプラーク(脂肪やコレステロールの塊)が破れ、血栓(血の塊)ができて血管をふさいでしまうことで発症します。
●症状
心筋梗塞の典型的な症状には以下があります。
・胸の強い痛み(狭心痛)
締め付けられるような痛みが数分以上続く
・共通の放散
痛みが左腕、肩、背中、あごなどに広がることがある
・息切れや冷や汗、吐き気
・めまいや意識障害
ただし、糖尿病の人や高齢者では典型的な胸痛がない場合もあります(無痛性心筋梗塞)。
●リスク要因
心筋梗塞の発症リスクを高める要因として、以下が挙げられます。
・高血圧
・高コレステロール血症
・喫煙
・糖尿病
・肥満
・ストレス
・過度の飲酒
・運動不足
・遺伝的要因
●治療方法
心筋梗塞の治療は時間との闘いです。主な治療法は以下のとおりです。
①緊急治療
・カテーテル治療(PCI):詰まった血管をバルーンやステントで広げる
・血栓溶解療法:血栓を溶かす薬を投与する
②長期治療
・薬物療法:抗血小板薬、スタチン、βブロッカーなど
・生活習慣の改善:食事療法、運動、禁煙
心筋梗塞と似ていますが、狭心症は心臓の冠動脈が一時的に狭くなって血流が不十分になり、胸痛が発生する病気です。春の季節変動によるストレスや温度差などが引き金になることがあります。
●原因
狭心症の主な原因は、動脈硬化によって冠動脈が狭くなることです。また、一時的に冠動脈がけいれんを起こして血流が悪くなる場合もあります。
●種類と特徴
①労作性狭心症
動脈硬化による血管の狭窄が原因で、運動やストレスで心臓の負担が増えたときに症状が出る。
【症状】
・運動時や階段を上るときに胸が締め付けられるような痛み
・安静にすると治まる(通常5分以内)
②安静時狭心症(冠攣縮性狭心症)
冠動脈がけいれん(攣縮)を起こして血流が減少することが原因で、安静時にも発作は起こる。
特に夜間や早朝に発作が起こりやすい。喫煙や寒冷、ストレスなどが発作を引き起こすことがある。
【症状】
・胸の痛みや圧迫感(特に左胸部)
・左腕や肩、首、あごへの放散痛
・息切れや冷や汗
安静で回復する(通常5~10分以内)
※発作が長引いたり、安静にしても治まらない場合は心筋梗塞の可能性があるため、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
●リスク要因
狭心症のリスクを高める要因は、心筋梗塞とほぼ同じです。
・動脈硬化の危険因子(高血圧・高コレステロール・糖尿病)
・喫煙
・肥満・運動不足
・ストレス
・過度の飲酒
・家族歴(遺伝的要因)
●治療方法
①薬物療法
・硝酸薬(ニトログリセリン):発作時に血管を広げて症状を和らげる
・β遮断薬、Ca拮抗薬:心臓の負担を軽減し、発作を予防
・抗血小板薬(アスピリンなど):血栓を防ぐ
・スタチン(コレステロール低下薬):動脈硬化の進行を抑える
②カテーテル治療(PCI)
バルーンやステントで冠動脈を広げる
③冠動脈バイパス手術
重症の場合、別の血管を使って新しい血流路を作る
専門医が患者さんの足を診断して冷たさや痛みの程度を確認し、足の脈を触れることから始まります。診察により閉塞性動脈硬化症が疑わしい場合は、検査を行っていきますが、足の血流を調べる検査としては、ABI(足関節上腕血圧比)、エコー(超音波)などがあり、患者さんにとって負担の少ない検査です。
●狭心症は血管が狭くなった(血流が悪くなった)状態
●心筋梗塞は血管が詰まった(血流が止まる)状態
どちらも心臓の血管の疾患ですが、痛みかたの特徴や発作の持続時間などが違います。
発作による心臓への負担は、心筋梗塞の方が大きく、救急車を呼ぶなど緊急の対応が必要です。