病理診断科

病理診断科
病理診断科

概要

診療内容

正しく早い病理診断には。

病院に病理診断科(常勤病理専門医在)がある意義。

外科系手術時の「術中迅速診断」が出来る事!!

質の高い必要充分な手術を保証する。
特に手術目的が悪性腫瘍(がん)摘除目的の場合、臓器切除断端での悪性腫瘍の残存の有無が患者さんの生命予後の明暗を分けるのです。「術中迅速診断」は、凍結組織標本を作製し提出後15分~30分で、断端での悪性腫瘍の有無を正確に顕微鏡で組織判定し手術中の医師に速やかに連絡します。断端に悪性腫瘍が無ければそこで縫合・終了に移ればよいのですが、悪性腫瘍が有れば次の「術中迅速診断で」悪性腫瘍が断端に無くなるまで切除範囲を広げなければなりません。もし病理専門医がおらず「術中迅速診断」が出来なければ、断端の悪性腫瘍の有無の正確な情報が得られず、患者救命のため充分に悪性腫瘍臓器を取り切ろうとすると不必要な拡大切除で臓器機能を失われるかもしれず、逆に肉眼所見と触知や経験で「術中迅速診断無し」で切除範囲を抑えた場合で断端に悪性腫瘍が密かに及んでいた場合取り残しによる悪性腫瘍の再発はまぬがれないわけであります。即ち、臓器機能の喪失を最小限にとどめつつ、確実に救命するという「必要充分な質の高い」悪性腫瘍摘除手術を保証するには「術中迅速診断」が出来る病理診断科の存在は必須であります。その「術中迅速診断」は病理専門医のみが居て出来るものではありません。術中提出される生の臓器断端組織を凍結固形化し顕微鏡で可視化するため薄切する大掛かりな機械と薄切する技術を持った臨床検査技師が当院の様に居て初めて対応出来るのです。当院では、相互カバーできる2人の病理専門医と複数の臨床検査技師が「質の高い必要充分な手術」を行えるよう常時「術中迅速診断」に対応しています。

「生検」と「細胞診」

さて、悪性腫瘍の摘出手術という身体に大きな侵襲を伴う治療を行うに際し、術前に確実に摘出が救命に必須の治療であるとの確認に悪性腫瘍(○○がん)の確定診断が必要であり病変の一部少量を採取してホルマリン固定永久組織標本を作製し顕微鏡で組織診断する「生検」が行われます。臨床医は、血液検査所見や放射線・超音波画像所見、内視鏡肉眼所見で悪性腫瘍の診断を進めますが、最終確診として「生検」の病理組織診断が求められ病理専門医が回答します。その「生検診断回答」に基き治療法が決定されます。
少量の病変採取とは言え「生検」は小さな観血手術ですので出血などの侵襲を免れません。そこで確度は落ちますが、病変から採取された細胞の形態だけを見て診断する「細胞診」という診断法も用いられます。たとえるならば、木の名(組織診断名)を調べるのに木の枝を取って葉の形のみならず枝葉の付き方(構造)を診る「生検」組織診断。広く落ち葉を診るスクリーニング的「剥離細胞診」 緑の葉をちぎって診る「擦過・穿刺細胞診」と言えましょう。

「摘出手術試料診断」と「病理解剖・剖検診断」

もうお分かりの様に、病理診断の方法論は見る(診る)ことによる形態診断です。肉眼的病理診断と顕微鏡組織診断が有ります。肉眼的病理診断は、「摘出手術試料」の切り出し、と病院病死遺体の「病理解剖」で必要となります。「摘出手術試料」の病名・病変の種類、病変の程度、病変の範囲など確定するために適切な顕微鏡組織標本の作製部位を肉眼的に判断し顕微鏡組織診断可能な大きさに指定・切り出すのです。「病理解剖」は死後ご遺族の承諾のもと速やかに実施されますので当初は肉眼形態診断のみになりますが、後日各臓器・病変の切り出し部の顕微鏡組織診断と合わせて最終剖検病理診断となります。

「術中迅速診断」「生検」「細胞診」「摘出手術試料診断」「剖検診断」これらの病理診断の確度を上げるには、臨床との連携は欠かせません。生理的・生化学的・血液検査。 臨床肉眼(放射線・CT・MRI・超音波画像。内視鏡像)所見による臨床診断名と情報と練り合わせて初めて正診に近づけるのです。それには、病理診断科が院内に有って常時臨床と病理の意見交換を行い瑕疵を避ける環境が重要なのです。

スタッフ紹介

  • 四方 伸明

    部長

    四方 伸明しかた のぶあき

    専門分野
    • 人体病理診断学
    認定資格
    • 医学博士
    • 日本専門医機構認定病理専門医
    • 日本病理学会病理専門医研修指導医
    • 日本専門医機構認定細胞診専門医
    • 日本臨床細胞学会細胞診教育指導医
    • 日本医療安全調査機構調査支援医
  • 非常勤医師

    螺良 愛郎つぶら あいろう

    認定資格
    • 医学博士
    • 日本専門医機構認定病理専門医
    • 日本病理学会病理専門医研修指導医

外来担当医表